海外居住者が所有する物件を借りる際の注意点は?

海外居住者が所有する物件を借りる際の注意点は?

皆さんは最近、「外国人オーナーの物件」や「オーナーが海外居住者である物件」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。特に湾岸エリアを中心とした分譲タワーマンションでは、外国籍の方が購入し、その後賃貸に出すケースが年々増えています。そのため、実際に入居希望者がこうした物件に出会う機会も少なくありません。

ジョイライフスタイルでご紹介しているデザイナーズ物件は、建物ごとに国内在住のオーナーが所有しているケースが多いため、これまではあまり意識されることはありませんでした。しかし近年では、コーポラティブハウスやデザイナーズ分譲マンションの一部において、海外居住のオーナー物件も散見されるようになってきています。

なぜこのテーマを取り上げるのかというと、先日あるニュースが大きな話題となったからです。その見出しは――

「貸し主が外国人だと申告漏れに」税務署から突然「100万円請求」動画が話題 他人事でない落とし穴」
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/c63779c3e07b3a09504d4632fb5e017464508c08)

一見すると自分には関係なさそうに思えるニュースですが、実は借主にとっても無視できないリスクが潜んでいるのです。今回はその背景と理由、さらに具体的な対策について掘り下げてみたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。


✅ 海外居住オーナー物件を借りる際の注意点

1. 管理体制の確認

  • オーナーが海外にいるため、物件管理を誰が行うかを明確にする必要があります。

    • 管理会社(不動産会社)が入っているか?

    • 入っていない場合は連絡・修繕対応が遅れるリスクがある。

2. 連絡・トラブル対応

  • 設備トラブルや急な修繕時に、誰に連絡すればいいか契約書で確認。

  • 日本の管理会社経由なら安心だが、オーナーに直接となると時差や言語の問題が発生。

3. 契約手続き

  • オーナー本人が署名捺印できないケースでは、委任状や代理人(親族・管理会社)を通じて契約する場合がある。

  • 印鑑証明書や本人確認書類が揃っているか確認。

4. 家賃の支払い方法

  • 国内の口座に振り込むのか?

  • 海外口座の場合は送金手数料や為替リスクが発生するため要注意。

5. 契約更新・解約手続き

  • 更新時の手続きや、退去の通知を出す際の連絡窓口を確認しておく。

  • 「解約通知を出したのにオーナーに届かずトラブル」という事例もある。

6. 税務関係

  • 賃貸人(オーナー)が非居住者の場合、日本の不動産所得に対して源泉徴収義務が発生することがある。

    • 借主が法人や事業主の場合、借主側に源泉徴収義務が課される場合があるため要確認。

7. 法的リスク

  • 裁判や調停が必要になった場合、オーナーが海外居住だと手続きが煩雑になる可能性がある。

  • そのため、国内の代理人や管理会社の存在が非常に重要。


借り手ができる安全策

  • 契約前に管理会社がしっかり介在しているか確認する。

  • 家賃は国内の銀行口座に振り込む形にしてもらう。

  • 契約書にトラブル発生時の連絡窓口・責任範囲を明記。

  • 不安があれば、不動産会社を通して契約する。

これは「非居住者(海外在住オーナー)に支払う賃料は、日本で課税される対象になる」という税法上の仕組みによるものです。


背景

  • 海外に住んでいるオーナーは日本に住所・居所がないため、納税しない可能性が出てくるのです。

  • そこで、日本国内の支払者側に源泉徴収の義務を課すという仕組みがとられています。


借主が法人・事業主の場合

  • 法人や事業主は「支払者」として、税務署に源泉所得税を納める義務があると法律で定められています。

  • 具体的には:

    • 賃料を支払う際、20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)を差し引く

    • 差し引いた分を税務署に納付する

    • 残りをオーナーに支払う

 つまり法人や事業主には代理徴収する役務が生じるのです。


借主が個人の場合

  • 個人(居住者)が居住用に借りる場合には、源泉徴収義務は課されていません

  • なぜなら、個人は法人に比べると「徴収事務を適切に行う担保が弱い」と考えられており、実務的に負担を避けるため免除されているようです。


まとめると

  • 法人・事業主が借主 → 非居住者オーナーへの支払いは源泉徴収が必要(税務署への納付義務あり)

  • 個人が借主 → 居住用なら源泉徴収不要(借主に税務負担を求めない)

  • 以上、海外居住者が所有する物件を借りる際の注意点と、その対策についてご紹介しました。

    賃貸借契約では、内見時や条件説明の際に「オーナーは海外在住です」と仲介会社から伝えられることがあります。そうした場合には、今回のポイントを思い出し、あらためて確認してみると安心です。特に管理体制や家賃の支払い方法、税務上の取り扱いについては、借主にとっても大切なチェック項目です。

    わからない点はその場で仲介会社に詳しく尋ねることで、不安を解消し、安心して新生活をスタートできるでしょう。

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