賃貸マンション室内で防音室を設置する方法
前回のコラムの続きで、今回は実際に賃貸マンション室内に防音室を設置する方法について説明します。ただし前提として「賃貸」であるため、原状回復義務や管理規約を守ることが大前提になりますのであらかじめ留意の上、ご参考にいただければと思います。
1. 簡易防音室(ユニット型)の導入
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YAMAHA「アビテックス」 や KAWAI「ナサール」 といった組み立て式防音室が代表例。
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工事不要、パネルを組み立てるだけなので賃貸でもOKなことが多い。
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遮音性能はおおよそ Dr-30〜40程度(隣室に聞こえる音を半減〜1/4程度に抑える)。
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音楽練習、テレワーク、録音用途に人気。
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サイズは0.8畳〜3畳程度まであり、ワンルームでも設置しやすい。
2. DIYでの“部屋の中に部屋”工法(Box in Box)
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木材や軽量鉄骨で小さな小部屋を作り、防音材+吸音材+遮音シートを組み合わせる。
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ポイントは「隙間をなくす」ことと「部屋を床や壁から浮かせる」こと。
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効果は大きいが、DIYでも重量や構造で床や壁に負担がかかる場合がある。
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賃貸ではビス打ちや接着NGが多いため、完全自立型で作る必要あり。
3. 簡易ブース・防音カプセル
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最近は テレワーク用の防音ブース(例:KOKUYOのワークポッド、島村楽器の吸音BOX)も普及。
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軽量・移動可能で、賃貸対応もしやすい。
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遮音性能は「小声〜通常会話を外に漏らしにくい」レベルで、楽器演奏には不十分だが、オンライン会議・ボーカル録音程度なら対応可能。
4. 部屋全体をプチ防音化
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窓:二重サッシ・防音カーテン
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壁:吸音パネル・遮音シートを貼る(貼って剥がせるタイプ)
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床:防振マット+カーペット
→ 「完全防音室」とまではいかないが、生活音や外音の低減には効果的。
注意点
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重量制限:組み立て式防音室は重量が数百kgになる場合もあり、床耐荷重(180kg/㎡が目安)を確認。
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換気・熱問題:密閉性が高いので、エアコンや換気扇をどう確保するか要検討。
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管理会社の承認:ユニット型は比較的許可されやすいが、DIY工事型は要相談。
まとめ
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手軽に始めるなら ユニット型防音室(アビテックスなど) が賃貸で一番現実的。
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予算を抑えるなら 簡易防音ブース+窓・床の防音強化。
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本格的にやるなら “部屋の中に部屋”工法(Box in Box) だが、賃貸ではハードルが高い。