デザイナーズマンション考察

デザイナーズマンション考察

弊社ではデザイナーズ物件を主に取り扱わせて頂いておりますが、常々「デザイナーズマンション」という言葉の一人歩きに歯痒い想いをしています。

マーケティングのための言葉としても確立されてきている「デザイナーズマンション」ですのでイメージとして伝わりやすくなってきたことは確かなのですが、言葉尻として軽く扱われている感も有りますし、流行が終わったように流布している方も中にはいらっしゃいます。。

そこで、本質を見誤らないためにも、そもそも「デザイナーズマンション」とはいったい何なのかについて今一度考察してみたいと思います。

暮沢剛巳氏が以前に知恵蔵に寄稿したものが理解しやすいのでご紹介しますが、

デザイナーズマンションとは、

個人住宅を扱う建築家によって設計された、オーダーメードのマンションの総称。敷地の形状や周辺の環境、居住者の要望などに応じて1戸ずつ丁寧に造られていることから、画一的な間取りの居室を寄せ集めた従来のマンションと区別してこのように呼ばれる。
(中略)
ライフスタイルや趣味の多様化などが進んだ結果、従来の住宅に飽き足らず、自分の嗜好に見合った個性的なマンションを求める都市住民が増加したことが人気の背景と考えられる
(中略)
建築家や住宅産業が、都市の「少衆」をターゲットとしたマーケティング戦略の成果ともいえる
(以下略)

わかりやすいですよね。

キーワードは、建築家,オーダーメイド,丁寧,画一的でない,嗜好,個性的,ライフスタイルの多様化,都市,少衆

無論、建築家が手掛けた設計、デザインによることは必須条件。

建築家の谷内田章夫氏木下道郎氏北山恒氏のユニット、ワークショップから本格的で本物のデザイナーズマンションが現れ始め、コンクリート打ち放しに大きな開口を持ったガラスのファサード、メゾネット空間にシースルーバスなどスタイリッシュな内外観デザインもこのときから始まりプロトタイプとなってきました。

それまでにも、今では時代を超えて愛され続けているビラ・シリーズなども著名建築家により都市住宅の先駆けとなってきましたが、前述の3氏のご活躍が現在のデザイナーズマンションの主流源流となってきた事は明らかです。
(もちろん背景にはデザイナーズ集合住宅専門に総合企画をされた弊社でもお世話になっている各コーディネート会社さん、デベロッパーさんの存在なしではあり得なかった事です)

コンクリート打ち放しに大きな開口を持ったガラスのファサード、メゾネット空間にシースルーバスなどスタイリッシュな内外観デザインもこのときから始まりプロトタイプとなってきました。

そして、マス向けにマーケティングしていますが、ターゲットはあくまでも都市の「少衆」の方々なのですね。

すでにご入居を頂いている方には、”従来の住宅に飽き足らず、自分の嗜好に見合った個性的な”内容がご自身のライフスタイルに合ったもので、そこが気に入ったから入居を決めたのだと思いますし、ご入居に至らなかった方の中には、そうでなかったから、という事がその理由の大部分を占めるのではないでしょうか?

このようにYes or Noがはっきりした物件。これがデザイナーズマンションの特徴でもあります。

そう、気に入られる方は感覚的に受け入れられますが、気に入らない方にはまったく受け入れられないのがデザイナーズ。

玄関が無い、コンクリート打ちっ放しは冬寒くて夏暑い、収納が少ない、間取りにイメージが持てない、バスルームがガラス張りなのが嫌などなど。確かにカッコいいけど、実際に住むとなると現実的では無いというのがその感想として多く語られます。

でも、住まうものの裁量に任せてあえてシンプルなままにしていたりと住まうことをしっかりと考えさせてくれるのがデザイナーズであると思いますし、考えられた動線や採光や風の抜け、土地の形状などのマイナス点を補う技術など綿密な計算の上に作られた素人目にはすぐにはわからない配慮も実は随所に感じられたりもします。

デザイナーズのお部屋を気に入ってご入居した方々の特徴でもあるのですが、家具やインテリアを愉しんだり、制約されない使い方、例えばSOHOやオフィスにしたり、プライベートサロンやジムにしてみたり、皆さん「多種多様な」自分なりのライフスタイルを持ってデザイナーズと付き合っておられます。

常人には無いセンスを持たれているというか、感度が高く、魅力的な方が本当に多いです。

加えて、本当に綺麗に使われる方が多いですし、不思議とお家賃の滞納などがきわめて少ないのも特徴。

このため大家さんにとっては理想的なご入居者さんである事が多く、多数物件を所有されるオーナーさんも多くいらっしゃるなどデザイナーズマンションが増え続けている理由にもなっています。

個々人相違しますが、魅力的なライフスタイルのお手本のような住まい方達ですので、ご入居者様のご許可が頂ければ、取材・サイト等に掲載させて頂きたいとも改めて思いました。そうすれば、益々デザイナーズ物件の本質をわかって頂けるとも思っています。

2000年前後辺りから目立ち始めたこのデザイナーズマンションですが、当初は数自体が少なく入居待ち状態でしたが、今ではブっ飛んだ内容の物件から入居してもらいやすさを第一に考えたものまで幅広く存在しており、これまで以上に多様なライフスタイルに適応いただけるようになってきました。

この過程においてこれはデザイナーズと果たして言えるのか、、といった物件も多々出てきて前述のような歯痒い想いをする原因にもなっているのですが、本物のデザイナーズマンションが持つ感性が刺激される美しいデザインは、都市居住者に都市ならではの多様なライフスタイルに応え、個性を生かした豊かなライフスタイルが送れることを提案し続けると思います。

弊社のフィルターを通して、これこそが本物の「デザイナーズマンション」と言って頂ける物件をこれからもより一層ご紹介して行きたいと思います。

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